スイカ割り-白石-
当たりを引いたのは、海へ遊びに行く事を提案した白石君だった。
「お、いっちょやりますか!」
水着姿なので実際には袖などないのだが、腕まくりをするような仕草をした後に目隠しをつけ、その場で数度回転をする。
「おい白石ぃ! お前どこを向いてるんだ逆だ逆!」
「白石由竹ぇ! 違うそっちじゃない! もう三歩分右だ!」
「そうそうそのままだよ白石君! あ、待ってちょっと左に寄っちゃった!」
私たちの指示を聞きながらふらふらと歩みを進める白石君は、最終的に皆の声が重なりすぎてよくわからなくなり、「おっしゃここか!?」と全く見当違いな所に棒を振り落とす。
「あっれ~? おかしいな」
白石君は自分自身の頭を小突きながら舌を出し、ウインクをする。まったく、全然ダメじゃないか、貸せ! とアシㇼパちゃんが目隠しと棒を奪い、くるくる回った上で綺麗にスイカを割っていた。その姿を見て白石君はクゥ~ンと犬のような声を上げていた。
「あはは、絵に描いたような失敗でちょっと笑っちゃった」
「え~? ひどいなあ。でもナマエちゃんに笑ってもらえたならそれでいっか~!」
ニカっと笑いながら白石君は言う。
「今日は、プライベートビーチになって残念だったんじゃない?」
「えぇっなんでぇ?」
「ん? てっきり、ビキニ姿の可愛い女の子をたくさん見たいんだろうなって思って」
「あ、バレた~? なんちゃって」
そう笑った彼が不意に真剣な顔になったので、思わずどきりとした。
「まあ俺は、ナマエちゃんの水着が見れたらそれだけで十分なんだけどね」
急にそんな事を言うから顔が熱くなるのを感じる。どういう意味? と聞き返したかったが、スイカ切り分けたぞー! というアシㇼパちゃんの言葉によって遮られてしまった。スイカを食べながら、スイカと同じくらい顔を真っ赤にさせていたらしい私を皆が心配している中、白石君だけがニコニコと私のことを眺めていた。