想い合ってるはずなのに
彼がいると、場の空気がパッと明るく、それでいて暖かくなる気がした。
いつもおどけて調子のいいくせに、人の事をしっかりと見ていて。誰と誰が今ちょっと拗れてるだとか上手くいってるだとか、そんな事もなぜだかよく見て把握している。かと言って無理にそこを取り持ったりはしない。だけど友人たちが皆過ごしやすいように、いい具合にその場の空気を読んで変えていくような、そんな人。それは私に対しても、等しくて温かくて。
私は、彼のそんな所が大好きだった。
生真面目な性格で、つい口を開けば正論ばかり。それが空気を読めていないことも時に人を傷つけていることもわかっていて、それでもそんな性分は治らなかった。
こんな私が彼を好きだなんて、正反対できっと烏滸がましくて。だから私はこの想いを、秘める事にした。
***
彼女がいると、場の空気がピリッと引き締まり、ひんやりと冷たくなる気がした。
いつだって真面目で正しい事を求めていて、その割に自分の言葉が他者に及ぼした影響に気付いて傷付いて。人によっては彼女は冷たいロボットのようだと思うだろうけれど、俺にはそうは思えなくて。誰よりも物事をしっかりと見据えて考え、だけど一本筋ではいかない事だらけで戸惑う、そんな子。こんなチャランポランな俺にでさえ、きちんと向き合ってくれる冷たいようで温かな女の子。
俺は、彼女のそんな所が大好きだ。
だけど一つの場所に留まることが苦手で、真面目に生きられなくて逃げてばかり。その場限りの相手にうまく取り繕っていくことだけが上手になっていく俺。
こんな俺が彼女を好きだなんて、きっと迷惑だよな。そう思って、俺はこの想いを隠したままでいたりする。
金カ夢一本勝負「温度差」というお題で。白石好きなんですけど、夢書こうとすると本当難しい。もはやこれは夢ポエムです。
初出・2022/11/29
初出・2022/11/29