夏が近づく
新しく取り替えたシーツに素足を滑らせて、朝洗ったばかりのタオルケットで体を包む。大型連休が明けた後の週末、七月並みの気温になりそうだという天気予報を見て張り切って引っ張り出したけれど、やっぱり夜はまだタオルケットでは寒かったなとうっすら後悔していた。先ほどまで溶けてしまいそうなほど熱を持っていたはずの体は、シャワーを浴びたせいかすっかり落ち着いてしまっている。
着替えてこようか、それともやっぱり私だけでも布団を持ってこようかと体を起こす。すかさず、隣にいた佐一くんは私の腕を掴みそのままゆっくりと私を包み込んだ。
「どうしたの」
「んー、まだちょっと肌寒かったなって。佐一くんは平気?」
「うん。俺にはちょうどいい、けど……」
長袖のパジャマ越しからでも、体温の高い彼の温もりが伝わってくる。確かに、これならタオルケットくらいでちょうど良さそうだ。
「このまま抱き締めて寝たら温かいかな」
「えー? ふふ、確かにあったかい。でもそしたら佐一くんは暑いんじゃない?」
「平気だよ、ナマエちゃんとくっついていられるなら」
もぞもぞと体を動かして、佐一くんの腕の中でちょうどいい場所を探す。ここだ、というベストポジションを見つけた私は「それじゃあこのままあっためててね」と彼に身を寄せた。
「うん。任せて」
その瞳のはちみつ色と同じくらいとびきり甘い声が頭上に降り注ぐ。とくん、とくんという彼の心音を子守唄のように聞きながら、心地よい温もりの中で私は眠りについた。
金カ夢一本勝負「初夏/杉元」のお題で書きました。
肌寒さを過ぎて、でも暑過ぎない初夏はやさしい季節だと思っているのですが、その空気感を纏わせたくて書きました。それが表現出来ているかはわかりませんが。
初出・2024/05/11
肌寒さを過ぎて、でも暑過ぎない初夏はやさしい季節だと思っているのですが、その空気感を纏わせたくて書きました。それが表現出来ているかはわかりませんが。
初出・2024/05/11