かそうパーティー
「ナマエちゃん、今度仮装パーティーしない?」
「かそう?」
「うん、さっきアシㇼパさんから連絡来てさ。白石とかも一緒に」
「VRゲームとかするの?」
「……うん?」
「
「あ、そっち? そうじゃなくて」
「え、もしかして
「違うそっちでもないよ」
「うそうそ、分かってるよ。ハロウィンだから
「なんだ、冗談かぁ。びっくりしたぁ」
「ふふ、ごめんね? もちろんする! 杉元くんはどんなのにするの?」
「うーん、狼男とかにしようかなぁ。ナマエちゃんは何にする? シスターとか? 小悪魔とかも可愛いだろうけど、白石が鼻の下伸ばしそうだからなぁ〜」
「私はゾンビにしようかな」
「……うん? ゾンビ?」
「うん、ゾンビ。私燃やされるより埋められる方がいいなって前から思ってて」
「うん、あの、火葬から一旦離れてぇ?」
***
火葬、もとい仮装パーティーと称してみんなでハロウィンを意識した衣装とお菓子を持ち寄って集まることになったのは月末の日曜日だった。
どこでやるかと言う話になった後、俺たちが二人で住む家が一番広くて気兼ねないだろうということになった。
「準備するから、絶対こっち入ってきちゃダメだよ」
「うん、分かったよ」
結局どんな仮装に決めたのか教えてくれなかったナマエちゃんはそう言ってそそくさと別室へと去っていった。俺も俺で、ネットで購入した狼男の衣装に身を包む。
一時間近くが過ぎ、そろそろ二人もやってくる頃にようやくナマエちゃんが少しだけ扉を開け顔を覗かせた。この間言っていた通りゾンビにしたようで顔には本格的なメイクが施されていてほんのちょっとギョッとした。
「もうアシㇼパちゃん達、来ちゃうかな?」
「んー、あと十分くらいかな? どうしたの、間に合いそうにない?」
「ううん……あの……なんか今更ながら変かなって気になっちゃって」
「んー? 俺、見てもいいの?」
「ん……」
ナマエちゃんは恥ずかしそうに目を逸らしながら、ゆっくりと扉を開ける。そこには、元は綺麗なデザインだったであろう白いドレスに、わざと血糊をつけボロボロになるよう加工を施した衣装を身にまとった彼女がいた。
「わあ、凄いね。全然変じゃないよ。ナマエちゃんが作ったの?」
「一から作った訳じゃないよ。元々、古着屋さんでこのドレ……服を見つけて、着てみたくて」
「へぇ、自分でアレンジしたんだ。すごくいい!」
心からそう思って彼女にそう伝えると、彼女は尚も恥ずかしそうにモジモジとしながら呟いた。
「すごく素敵だったけど、流石に本番じゃないのに着ちゃったら、よくないかなって思って……」
その言葉を聞いても真意が分からずキョトンとしていると、ナマエちゃんは更に小さく口ごもりながら続けた。
「ウェディングドレス。結婚式より前に来ちゃうと婚期逃すって言うでしょ。でもどうしても着てみたかったから、ハロウィンのゾンビの花嫁としてならセーフかなって思ったの!」
照れ隠しなのだろう、後半は早口で捲し立てる彼女に呆気に取られているとピンポーンと軽快な音が鳴った。
「あ、アシㇼパちゃんたち来たみたい!」
血色の悪いメイクをしているのに耳まで真っ赤にさせた彼女は玄関までパタパタと駆けていった。
リビングに一人残された俺は、クリスマスに予定していたプレゼントの指輪を、もっと早いタイミングで渡すべきかと悩む羽目になった。
初出・2023/10/28