窓から差し込む光が眩しくて、ここ最近は陽が沈むのが早くなってきたなあと思った。夕暮れの廊下を歩くのはわりかし嫌いじゃない。
課題の提出を忘れていた為追加の課題を出され、仕方なくそれを済ませて職員室へ提出してきた。さてと、そんな俺の課題が終わるまで健気に待ってくれた彼女の元へ早く向かわなくては。
軽い足取りで教室へと戻れば、彼女は先ほどから座っている位置にじっと座ったまま、文庫本に目を落としていた。
「ごめんねぇお待たせ!」
「白石くん。おかえり、大丈夫だった?」
「おう、ばっちり提出してきたぜぇ! それじゃ、帰ろっか!」
「あ、ごめん。今ちょっといいところだから、もう少しだけ読んでもいい?」
「ん? もちろん! 今まで待っててくれたしね」
「ごめんね、ありがとう」
にこりと笑ってそう言った彼女はまた視線を落として本を読み進めていく。その本面白い? なんて声を掛けたかったけど、邪魔しちゃ悪いよなと思いとどまって堪える。
無言のまま、時たま紙を捲る音だけが教室の中に響く。スマートフォンを取り出しそれを眺めるふりをして、本を読む彼女をじっと眺めていた。いつもはこっちをまっすぐに見つめる彼女の目が伏せられていて、長いまつ毛が夕陽のせいかキラキラ輝いて見える。
こんなに可愛い彼女がいて、俺ってばなんて幸せなんだろうなぁ、なんて考えていると彼女はチラリとこちらを見て、またそっと目を伏せた。
「ねえ、私の顔何かついてる? じっと見つめられると、なんか照れちゃうよ」
「へ? えへへ、ごめんねぇ?」
見つめていた事がバレて恥ずかしくなる。頭をかきながら、彼女ではなくて窓の外を眺めた。夕暮れの教室の中、無言で二人。こうやって彼女と過ごす時間もわりかし嫌いじゃないな、なんて思っていた。