初めて手を繋いだ日

隣を歩いていると不意に指先が触れ合ってたもののパッと離されちゃう「ご、ごめんねぇ?」なんて慌てて謝られるもんだから、別に杉元さんなら嫌じゃないですよむしろその反応傷付きますと唇を尖らせながら言うと「えっ……じゃ、あ、手を繋いでもいい、の?」とソワソワしながらも嬉しそうに聞く彼。もちろんです、と手を差し出すと優しく手を握られ「ふふふ、ナマエさんの手小さくてやわらかい。俺の手、ゴツゴツしててごめんねぇ?」なんてニコニコ言われる。その手に何度も護られてる私からしたら、大好きな優しい手ですよ、と伝えると握られた手の力が強くなり、「これからも護るから、安心して」と笑ってくれる。
恋仲になって初めて二人きりになって歩いていると「ね〜ぇ、ナマエちゃん?」とキラキラした目で見つめてくる。何かと思えば手を繋いで歩かない?との事。いいよ、と手を差し出すと「いいの!? やったー! あ、ちょっと待ってね汗かいてないかな?」なんて言いながら服の裾で手を拭いたり自分の手が汚れてないかチェックしたり。女好きだけど素人女性にはテンパっちゃいがち、でも大切にしようという気持ちは伝わってくる。
何かを発見した時に「おいナマエ! あれを見てみろ!」と自然と手を引かれて連れていかれる。わ!こんなところにこんなものがあるんだね、なんて会話をしながら、ふと繋いだ手に気付いて「ちょかっすまんやった(いきなりすまなかった)」と慌てて謝ってくる。別に嫌じゃなかったよ、また何か見つけたら教えてね、と笑いながらナマエが言うもんだから、また手を繋いで連れて行きたくて何か物珍しいものはないか、一緒に歩くときはやたらキョロキョロしちゃう。そんなのなくても、手を繋いで歩いてもいいのにななんて思いながらその行動を眺めちゃったりする。
人混みの中歩いてはぐれそうになったり、もしくは何かとぶつかりそうになった時とかに「おい、危ないぞ」と腕を引いてくれる。引いてほしい。一回のみならず何度も同じ状況になるので「まったく、危なっかしいやつだな」と少し呆れたように笑われるから、そうなんです、だから手を繋いで歩いてもらえませんか、ってこっちからお願いしたい。一瞬呆気に取られて「まさかわざとじゃないだろうな?」なんて言って眉を顰めながらもそっと優しく手を握って歩いてくれる。
皆寝静まっている中でなんとなく眠れなくて夜の散歩にでも行こうとすると、その気配を察知した彼にスッと手を握られる。「どこに行くんだ」なんだか眠れなくて、と答えると「夜に一人で行動するな。眠れなければここにいろ」と手を握ったまま自分の隣に座らせる。声色はいつも通りだけど、一応夜道に一人にさせる事に対して気遣っているよう。特に何か話すわけでもないけれど、握った手の温もりが嬉しくて安心して、そのまま彼の肩に頭を預けて眠りについて、翌朝皆に目撃されて揶揄われちゃったり。