赤に囚われて
じんわりとした空気が体を包む。暑さと湿気で不快な体を、わずかに吹く風が和らげていく。風に乗って、夏の匂いがした。もう季節が移り変わるのかと思いながら、手のひらで鍵をギュッと握り直した。
彼女と出会ったのは、まだほんのりと肌寒い春の日だった。あの日の事はよく覚えている。
当時少しだけいい雰囲気になった大学の女友達に連れられて行った小さなライブハウスに、彼女はいた。カウンターでドリンク交換を行う彼女の指先と唇がやけに真っ赤で印象的だったのを覚えている。ライブ中、人に酔ったのか少し気分が悪くなり会場を出た俺に彼女が声を掛けてくれ、ほんの少しだけ会話をした。
「気分悪い? さっき交換したミネラルウォーター、まだある?」
「あ、はい。大丈夫です。気にしないでください」
「……んー、はいこれ。奢ってあげる」
「え、いやでも……」
「体調悪そうな人ほっとけないからさ、はい」
そう言ってスポーツドリンクを渡してくれた。ただそれだけ。それだけなのに、緩やかに弧を描く唇と、ドリンクを渡す指先に纏われた赤が脳裏に焼き付いて仕方がなかった。
次に彼女に出会ったのは、それから数日が経った頃だった。何故だか頭から離れない彼女にもう一度会ってみたくなって、あのライブハウスに足を運んだ。結果としてカウンターの中に彼女はいなくて、そう簡単に会えるものではないかと肩を落としていると、酷い雨に遭遇した。とことんついてないなと思いながら慌てて近くの店の軒下に入ると、同じように雨宿りをしている女性がいた。それが彼女だった。
「あっ……」
「ん? ……あー、この間の。大丈夫だった?」
一瞬訝しげに彼女は俺を見て、そしてすぐに思い出してくれたようでパッと顔を明るくした。その表情に思わず胸が高鳴る。
「はい、おかげさまで……覚えててくれたんですね」
「あは、そりゃあこんなイケメン忘れないよ」
なんてね、と笑いながら言う彼女になんと返せばいいか言葉に詰まっていると、そんな俺を見て彼女はまた笑った。
「それにしても酷い雨だね」
「ですね。一瞬でびしょ濡れだ」
「これじゃ電車にも乗れないよねえ」
彼女は彼女で、艶やかな黒い髪も元からピッタリとしていたであろう服も雨に濡れて肌に張り付いている。体のラインが強調されたような姿に目のやり場に困り、ふいっと逸らした。
「あ、そうだ。いいこと考えた」
「はい?」
「その前に、この間一緒にいたのって彼女?」
「え? あ、いやただの友達、ですけど」
先日一緒にライブへと来ていた子の顔を思い浮かべる。明らかに彼女からの好意は感じていたが、実際のところ交際をしている訳ではないのでそう答える。何故だか後ろめたさはあったが。
「今、彼女いる?」
「いや、いない、ですけど……」
「じゃあ、いいかな」
何の確認なのだと思いながら答えていると、彼女が少し先を指差して言った。
「あそこ、入らない?」
「あ、そこ、って……」
その先にあるのはラブホテルだった。
「いや、あの、えっ?」
「どうせびしょ濡れでこのままだと風邪ひきそうだしさ。あそこならガウンもあるだろうしお風呂もあるし、服はドライヤーで少しは乾くでしょ」
「は、まあ、そうですね……?」
単純に一時凌ぎの提案をされているのか、それとも誘われているのか。考えあぐねていると彼女はニヤリと笑った。
「なぁに? やらしい事考えちゃった?」
「えっ!? いや、その……」
「あははっ、君イケメンで遊んでそうなのに意外とウブなタイプ? いいね」
「あの、もしかして俺からかわれてます?」
「ごめんごめん、なんか可愛くってさ」
「……」
初めて会った時の少しクールな印象とは違って、ケラケラと笑う彼女にそれでも心は奪われていくのを感じた。
「一応俺も男なんで、あんまりからかわないでもらえますか」
「あはは、ごめんねぇ。でも、君みたいなイケメンなら私は構わないけどね」
「……」
「で、どうする? 行く?」
そう言って笑う彼女の唇も口元に寄せられた指先も血のように真っ赤で、その赤に吸い込まれるように俺は彼女の手を取って頷いていた。
雨は通り雨で、俺たちがホテルに辿り着く頃にはもう止んでいた。それでもずぶ濡れになったままの俺たちはそのままホテルの中に入っていく。春になり気温がやや上昇してきたとは言え、濡れたせいで冷えた体を交互に風呂へと入り温めた。ホテルに備え付けのガウンに着替え、濡れた髪を乾かした後着ていた服にもドライヤーで風を当てていく。
「すぐには乾きそうにないねえ」
「ですねえ」
「……ねえ、そろそろ敬語やめてくれない? 多分歳近いし。いつまでもよそよそしいの、私嫌いだな」
「じゃあ、うん」
シャワーを浴び髪も洗ったはずなのにメイクを落とさぬまま彼女は言う。唇の赤もそのままで、どうしても目を奪われる。
「なぁに、じっと見て」
「あ、いや……メイク、落ちてないなって」
「出会ったばかりのイケメンに素顔さらけ出せるほど自信のある顔面じゃないからね」
「そんなこと」
「ま、もし泊まるってなったら流石に落とすけど」
不意に言った彼女の言葉にドキリとする。何も言えなくなった俺に彼女はニヤリと笑い、「どうする?」と言った。目を泳がせながら頷くと、ドライヤーを持つ俺の手を彼女が握り、そっとドライヤーのスイッチを切った。
「一晩干しておけば、きっと乾くよ」
そう言って彼女は背伸びをして俺の首に腕を絡ませ、唇を重ねた。
こんなに急展開で誰かと関係を持つのは初めてだった。どんなに女の子から言い寄られても、こちらから気になる子が出来ても、もっと慎重に関係を縮めてきた、と思う。それなのに今回はそうも出来ないくらい、多分急速に彼女に惹かれていったのだと思う。
互いの欲を満たし、今度は体を温めるためではなく清めるためだけのシャワーを浴びる。
「なんか、お腹減ったね」
「そうね。なんか頼む?」
「あ、宿泊の方はこちらサービスって書いてあるよ」
「ああ、そのメニューは美味しくないからやめた方がいいよ。追加払ってでも、こっちのメニューから選んだ方がいいから」
サラリとそう言う彼女に、何度もこのホテルに来た事があるのだと察して胸が痛んだ。そんな俺を気にも止めずに、彼女は自分が食べたい物を選び俺に伝える。
「私、これにしようかな。君は何にする?」
「……佐一」
「え?」
「俺の名前。杉元佐一」
「あは、そういえばお互い名前も知らなかったね」
メイクを落として先ほどより少しあどけなくなった顔で彼女はケラケラ笑って、名前を教えてくれる。
「じゃあ佐一君、私の分も一緒に頼んでちょうだい」
「わかった」
正直胸の辺りがモヤモヤとして食欲はなかったけれど、適当に目についたものを頼んで胃の中に押し込んだ。味なんて、正直わからなかった。
テレビを見ながらお互いの事を少しだけ話して、ベッドに潜り込んだ。もう一度彼女に触れたくなったけれど、すぐに彼女から寝息が聞こえたのでそっと寝返りを打ち俺も眠った。
朝目が覚めて、隣に彼女の姿がなくて一瞬慌てたが、既に着替えを済ましメイクも終えた彼女がソファーに座って携帯をいじっているのを見て安心した。
「あ、起きた? 服ちゃんと乾いてたよ」
「そっか、よかった。ごめん、俺も急いで支度する」
「んーまだ時間あるしゆっくりでいいよー」
携帯に目を落としたままこちらをチラリとも見ずに彼女は言う。その素っ気なさが、俺への関心のなさのように思えてまた胸が痛んだ。
身支度を整え彼女に声を掛けると、彼女はじっと俺の顔を見て言った。
「セットしたのもいいけど、下ろしてるのもいいね」
「え?」
「髪」
彼女はそう言って俺の頭を指差す。突然の事だったためヘアワックスなど持ち歩いているわけもなく、そのまま下ろした状態にしていたのだ。
「まあ、ちょっと面倒だから切ろうかなとも思ってるんだけど」
「ふぅん、まあ君なら何でも似合いそうだね」
そんな会話をしながら、彼女は昨日と変わらずきちんとメイクをしている事に気付いてまた胸がモヤモヤした。女の子がある程度メイク直し用に道具を持ち歩いているのは知っているが、そんなに一式持ち歩くものなのだろうか? こういう事がよくあり慣れているのだろうか。
心に何かが突き刺さった用な感覚を覚えながら、ホテルを出る。あっさりと「じゃあね」と立ち去ろうとする彼女の手を慌てて握り、引き止めた。
「なに?」
「あ……その、」
「ん?」
あっさりとした彼女の様子に、ここから交際が始まるのではない事だけは俺にもわかった。だけど、せめてこのまま終わりにはしたくなかった。
「連絡先、教えて」
「ああ、交換してなかったね。ちょっと待って」
そう言って携帯を取り出し、すぐに連絡先を交換した。
「また、連絡していい?」
「んー? 別にどうぞー、私も暇な時連絡する」
「……ねえ、なんで彼女いるのか聞いたの?」
「そりゃ、彼女持ちはねぇ。色々と厄介でしょ」
「……そっか」
君はどうなのと問う前に、じゃあねと今度こそ彼女は手を振って去っていく。別れ際に見せた彼女の自嘲気味に笑った顔が頭から離れないまま、彼女の名前が増えた携帯を帰り道に何度も眺めた。
何度か彼女を誘ったけれど、彼女が誘いに乗ることはほとんどなかった。逆に彼女から誘われた時には必ずOKをした。そんな俺を彼女は「なんだか従順な犬みたいで可愛い」と笑った。俺の好意をわかった上で、そんな風にしながらのらりくらりと曖昧な状態を過ごす彼女の狡さに、それでもどうしようもなく惹かれていた。
何度目かの時に食事でもホテルでもなく、彼女の部屋に誘われてどういう風の吹き回しかといつもよりも急足で彼女に教えてもらった住所へと向かっていった。
「思ったより早かったね。ごめんね、突然誘って、迷わなかった?」
「ううん全然。……あれ、今日なんかいつもと雰囲気が違うね」
「そう? まあ入ってよ」
初めて訪れる彼女の部屋のベルを鳴らすと、迎え入れてくれた彼女の姿に一瞬驚いた。普段は黒が基調の服装が多い彼女が、柔らかい色合いのブラウスとスカートに身を包んでいた。何より、いつもつけている赤いリップではなくて、薄い桃色のリップだった。
「ちょっと散らかってるけど、まあ適当にくつろいでてよ」
部屋の中へ案内してくれた彼女の瞼が少し腫れているような気がしたけれど、触れていいものかわからずに俺は黙っていた。
来る途中で適当に買ってきたお酒を飲んで弁当を食べ、いつもとは雰囲気の違う彼女をいつものように抱こうと唇を重ねた。ブラジャーのホックに手をかけた時、今まで微かに抱いていた違和感の正体に気づいた。
「あ」
「ん? どうした?」
「……ううん、なんでもない」
赤や黒を好む彼女が、下着だけは淡い色合いのものをいつだって身につけていた。まるで先ほどまで着ていた洋服のように、可愛らしい女性らしさを全面に押し出すような。一度だけそれについて触れた事がある。服の趣味と下着の好みは違うのか、と。彼女は少し黙った後「男の人は、こういう方が好きでしょ」と小さく言った。
きっとこの姿を気に入っている男がいて、そしてそいつに気に入られたい気持ちが彼女にあるんじゃないか。行為の最中、ギュッと目を瞑る彼女は、快楽からではなくて頭の中では違う誰かに抱かれていたんじゃないか。そんな疑念が頭をよぎった。
その日の夜は、いつものようには彼女を抱けなかった。もっとずっと自分の存在を彼女に覚え込ませたくて、いつも以上に彼女を掻き抱いた。
そのまま眠りについてしまった俺が目が覚めた頃には、彼女はまた身支度を整えた状態だった。いつものように、黒を基調とした姿に赤いリップの彼女に安心を覚えた。
「私、そろそろ出なきゃいけないからさ。これ」
「えっ?」
「佐一君、持ってていいよ。君なら大丈夫だろうし」
そう言って渡されたのは、合鍵だった。
「えっ、えっ?」
「勝手にシャワー浴びてタオル使っていいから。じゃあね、また連絡する」
淡々とそう言って彼女は先に出て行った。使い古されたキーホルダーのついた、合鍵を残して。
一瞬期待をしたけれど、それからも俺たちの関係は何も変わらなかった。ただ、場所がホテルから彼女の部屋に変わっただけ。
相変わらずの突然の呼び出しには必ず応じた。バイトが入っている日は終わってからでも駆けつけた。どんなに遅くなっても訪れる俺に「佐一は本当に従順なわんこだなぁ」と彼女は笑った。彼氏じゃなくても、犬でもいいから彼女のそばにいたかった。
大学の友人たちは、そんな俺に呆れていた。いい雰囲気だった女友達も気がついたら学内では挨拶すらしなくなった。それでもいいと思っていた。
ある日いつものように彼女の部屋で二人で過ごしていると、彼女の携帯が鳴った。普段はあまり携帯を気にしない彼女が急いで携帯を手に取って部屋を出ていく姿を見て、嫌な予感がして仕方がなかった。ほんの数分がとても長く感じた。
「ごめんごめん」
「ううん。電話、大丈夫?」
「うん。大した用じゃ、なかったから」
そう言って彼女は目を逸らすから、相手が誰だったのかがなんとなくわかって嫌な予感があたったのだと思った。先ほどまで二人で眺めていたテレビの内容はちっとも頭に入ってこなくて、それは彼女も同じようだった。テレビの隣に飾られている空っぽのコルクボードがどうしてだか目について、それでも彼女に何も言えなかった。あそこに飾られていた彼女は誰とどんな顔をしていたのだろう。今俺と過ごす斜め前の彼女はどんな顔をしているのだろう。
体を引き寄せ肩を抱いて、俺の胸で泣きなよなんて言えば彼女の気持ちは少しでも変わるのだろうか。そう思って彼女に腕を伸ばすけれど、きっとそうじゃないなと思った。肩を抱き寄せるのではなく、彼女の肩に腕を回して彼女の首筋に頭を寄せる。
「なあに、甘えて」
「んー? ……構って欲しくて」
「全く、うちのわんこはしょうがないなあ」
格好つかないなって笑いながら、それでも彼女が振り向いて頭をわしゃわしゃと撫でてくれるから嬉しかった。
灯りを消してベッドに潜り込んで、互いの体に触れながらいつものように行為を重ねていく。やっぱり淡い色合いの下着を纏っている彼女に気付いて、いつまでも変わらない彼女の心の中が見えた気がした。何度だって彼女を抱いたのに、彼女の心の中に俺はこれっぽっちもいない気がして虚しくてたまらなかった。
翌朝目が覚めると彼女はいつものように先に起きて身支度を整えていて、もう家を出るところだった。昨夜の電話のことがあったからもしかして、と思ったが彼女の姿はいつも通りの格好に赤い口元で、少し安心する。
「ああ、起きた? 私もう出るよ」
「……もう少しだけ」
「ダーメ」
引き止めようとする俺のことなんかお構いなしに玄関へと進んでいく彼女にそっと手を伸ばし背後から抱き寄せる。
「ダメだって」
「ん」
呆れたように振り返る彼女に触れるだけの口付けを落とす。もう、と離れた彼女は俺の口元を見て笑った。
「あーあ、リップついちゃってるじゃん」
そう言って弧を描く彼女の唇はさっきとちっとも変わらず鮮やかな赤を纏っていた。
家主のいなくなった部屋で、俺だけが一人取り残される。玄関に置かれた小さな鏡を覗けば、なるほど確かに俺の唇は彼女のリップの色が移っていた。彼女の唇からは色を奪えないというのに、いとも簡単に彼女の色は俺に移ってしまう。これまでだって、これからだってきっとそうだ。彼女は何も変わらないまま、俺だけが彼女に捕えられていく。
急に鼻の奥がツンと痛んで、声にならない声が漏れ出る。玄関マットに数滴分のシミが出来たのを視認して、俺は急いで顔を洗った。あんなに大好きだった彼女の部屋から、一秒でも早く離れてしまいたかった。
手短に身支度を整えて、大学に向かった。ぼんやりとした気持ちで講義を全て受けた後、ふと思い立って髪を切りに行った。
彼女と出会ってから一度だけ髪を短くした。それを見た彼女が「それも似合うけど、ちょっと長いくらいが好きだな」と言ったので、しばらくは同じ髪型をキープしていた。だけど、それももういい。
さっぱりとした髪で、彼女にメッセージを送る。
『今日は、夜もバイト?』
『ううん、今日は昼のバイトだけ。どうした?』
『会いたい』
『今朝も会ったのに?』
『うん』
『ふーん、わかった』
これから帰るところだと言う彼女に近くで待つようにお願いしてから、彼女のバイト先へと向かう。ふんわりと吹く風に乗って、夏の匂いがする。季節を一つ分過ごしたのに、ついぞ彼女の気持ちは奪えなかったように思う。ポケットに入れた鍵を取り出して、手のひらでギュッと握り直した。
「ごめん、お待たせ」
「うん。家に来てくれたらよかったのに」
「いや、今日は外で会いたかったんだ」
「ふぅん? なに、なんかあった?」
家に二人でいる時の甘い声とは違う、よそ行きの声で彼女は話す。いつだってそうだった。
「これ、返したくて」
「……なに、突然」
「俺、もうこんな関係、嫌だ」
ずっと握っていて生暖かくなった彼女の部屋の合鍵を差し出すと、彼女は眉を顰めた。吐き出した言葉に、俺自身の胸がぎゅうと痛くなる。彼女の瞳は、俺の言葉の意味を探るようにじっとこちらを向いている。
「ねえ、本当は気づいてるんだろう。俺が君のことを好きだって。大好きだって。君が俺と付き合う気がないことも、都合のいい曖昧な関係を望んでるのも、他の人が君の心に棲みついてることも、俺は全部わかってるよ。わかってて、それでもいいからこの関係に甘んじていた。でも、俺はもうこんな関係嫌だよ。終わりにしたい」
「……もう会いたくないってこと?」
「君が、これからもこの関係を続けたいと言うのなら。だけど、」
「……だけど?」
「君が。君がちゃんと俺と恋人になってくれる事を選んでくれたら。俺はまだ会いたい。君ともっと笑い合いたい。犬みたいに君に尽くして大事にするよ」
「……」
「君のことが好きなんだ」
きっと今俺は酷い顔をしているんだろう。そんな俺を彼女はまっすぐに見つめる。どれだけの時間が経ったかはわからないけれど、ぴゅうっと強い風が吹いた後、彼女は少し乱れた髪を整えてからもう一度俺の顔をまっすぐに見て口を開いた。
「 」
彼女の赤は、今も俺を捕えたまま。
ちなみに曲はMy Hair is Badさんの「真赤」でした。
切なめのお話になりましたが、気に入っています。
果たして最後に彼女はなんと答えたのか。
初出・2022/11/20